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企業が生き残るには 財部 誠一さんの講演

財部誠一さん29月のことになりますが、サンデープロジェクトのコメンテーターとしてもおなじみの財部誠一(たからべせいいち)さんの講演を聴く機会がありました。
中小企業の方向性についてがテーマの講演会でした。

“伸びている企業”はどう違うのかということからお話は始まりました。
景気回復の実感が湧かない企業が多く見られますが、実際に営業利益を増やしている企業も存在しています。

それら企業はいずれも『現状認識に対する徹底的なリアリズム』を突き詰めている、噛み砕いて言うと、
『今、何が起こっているのかをしっかりと見ている』ということに尽きます。

上場企業で成功しているところはいずれも海外でぼろ儲けをしています。

日本と異なり、海外では総じて高成長が続いています。成功している企業はこの機運を利用し、海外の高成長を自らに取り込んでいるのです。

これは従来型の日本のビジネスモデルとは異なる手法です。

例えば、大企業の1つ、トヨタのビジネスモデル変更の場合、
従来から続いてきた『輸出』を捨て、『現地生産』方式に切り替えてきました。
いわゆる“マーケット(=販売しようと思う地域・市場)”で作って“マーケット(その地域・国)”で売る方式です。
この方式に切り替えることで、途中の物流コストが大幅にカット出来、これがそのまま利益となったのです。
もちろん、海外における“国内生産”ですので為替の影響はほとんどありません。

アメリカ工場での生産による大幅な利益増によって、日本のトヨタ、日産、本田は経営がうまくいっているというわけなのです。

一方、国内では“地域間格差”が取りざたされていますが、『東京が良くて地方が悪い』とは一概に言えません。
実際、福岡県や三重県は“大企業誘致”に成功し、好景気が続いています。

大企業の場合には容易に海外展開が可能ですが、中堅、中小企業の場合はどうでしょうか?
海外での“現地生産・現地消費”は非常に困難ですし、国内での生産・消費に頼らざるを得なくなっています。
さらにその消費を海外からの輸入品が狙っているのが現状です。

そんな中、今の日本で既に始まり、これからも続いていくであろう企業変化があります。

少子・高齢化が叫ばれて久しい現在、日本国内の人口は着実に減少傾向にあります。
それに伴い経済活動が縮小していく事は必至です。
そうなると自ずから企業は淘汰されていきます。
倒産だけではありません、企業買収(M&A)の形でも淘汰は進行していきます。
企業買収、『乗っ取り』という悪いイメージもありますが、団塊の世代がまとまって一線を退いた後、“後継者”として引き継げる人材が不足してくる事も原因として挙げられます。

企業を経営するだけの能力が足りない場合もありますが、ライフスタイルの多様化に伴い、例え能力があっても、自らのライフスタイルを優先し、引き継ぐ事を辞退する人も出てきています。
そのような理由からも企業買収は進んでいくのです。

事実、ホームセンターやドラッグストアーなどの場合、企業規模が大きくなり店舗数が増加する事で、一括購入量が増加し、仕入れコストが下げられるというメリットも生じてきています。

これから暫くの間はM&Aや持ち株会社化による<中堅中小企業の集約化>が日本社会の動きになると考えられます。

こんな状況の中、実績を上げている企業があります。

福岡県久留米市にある<松本商店>という会社です。
ここは元々金属材料の卸問屋さんでした。
2000年前後の不況期には、ご多分に漏れず“価格競争(=安売り)”的な販売方法を選択してしまわれました。
当然、厳しい経営状況に突入します。『残ったところ勝ち』な状況です。

そこで、自社を見つめ直し、この状況から抜け出す為に次のような行動に出られました。

<既存顧客へのインタビュー>と<工場を見せてもらう>という行動です。

<工場を見せてもらって>分かった事、それは『お客様の工場内には販売した材料が山積みになっていた』ということでした。

自分達が安い値段で材料を販売しても結果的には“不必要なもの”として残ってしまっている。

つまり自分達が行なってきたビジネスが、お客様に対して“迷惑をかけている”ことに気付かれたのです。

そこで従来のビジネス形式とは異なる
お客様が『必要な時に、必要な形に加工し、必要なだけを売る』
というお客様に役立つ“お客様の立場に立った”ビジネスモデルに切り替えたのです。

もちろん、金属材料の卸問屋さんですから、“加工”は出来ません。
その部分に関しては近隣の工場へ<外注に出す>という形でカバーしました。
これにより、自社の利益だけでなく近隣の工場にも仕事が回せると言う新しいプラスの流れも生まれました。

このビジネスモデルへの変更により、現在では利益率が3%から30%へと大きく増加しています。
販売範囲も九州全域から中国地方にまで発展して来ているそうです。

今後の展開としては現在の<外注先>のネットワークをより合理化することで、例えば九州から材料を発送し、途中の山口県でカット加工を行い、広島県で研磨加工、そして完成品を大阪に納入するといった
輸送ルート内での加工により、遠距離のデメリットを解消しつつ販売範囲を拡大することを考えておられるとのことです。
輸送ルート途中の企業にも仕事が流れ、受け取ったお客様は加工の手間が省け、材料卸である自社も儲かる、皆にとってプラスと成るビジネスモデルです。

この例から分かる事、それは<ヒントはお客様に教えてもらう>と言う事に尽きます。
それも従来からお付き合いのある“既存のお客様”からです。

お客様へのインタビューに徹し、<お客様から見た自社の現状認識>をしっかりとした上で、<お客様の利益を忘れず>に、従来の自社のビジネスモデルを劇的に変える。
これがこれからの日本で自社が生き残っていく方法だという事です。

財部誠一さん1

 

 

 

<ヒントは既存のお客様に教えてもらう> 実
践していきましょう。さもないと、飲み込まれ、吹き消されてしまいますから。

コメント (1)
  1. ロンベルク より:

    お久しぶりです
    私も福岡の久留米市にいます
    松本商店さんは結構有名です
    「必要な(イル)時に必要な(イル)だけ」というキャッチコピーはよく見ます
    けれどそんなシステムになっていたのは驚きです・・・
    私も頑張らねば・・・

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