TOP CHAIN 柳瀬製作所では、ワンちゃん用にステンレス製係留用チェーンをお作りさせて頂いております。
市販の鉄製チェーンのような“錆ですぐに赤茶色になってしまう”事がないので、多くの方が、かなり長い期間、繋留にお使い下さっています。
以前にもどこかで書きましたが、親戚からは飼っていたワンコが亡くなるまでの15年間使った(という申告があった)チェーンが戻ってきました。
鎖屋兄弟の手元にあるチェーンでは、これが一番長く使用されていたチェーンでした。
今回はそれに次ぐ、10年間使用されていたチェーンです。
『ナスカン部分が壊れてしまっているのでそれを交換して欲しい』という情報だけしか頂いておりませんでしたが、部分的に大きな擦り減りが起きていることは今までの経験から十分に想定されましたので、受け取り次第その点からもチェックをしてみる事にしました。
数日後に送られてきたチェーンを見てビックリしました。
“ナスカンが壊れてしまっている”との事だったので、てっきり、可動部のノックピンが曲がったり折れたり、バネがダメになってしまったり、下部の回転部分が擦り減りに伴ってスッポ抜けてしまったりといった状態を想像していました。
ですが、実際にはそれらの想像をはるかに超えた状態のナスカンの姿がありました。
写真をご覧下さい。
ナスカンの?形状の部分が大きく抉れる形で擦り減ってしまっています。
この細くなった部分の強度が低下し、ここを起点にしてナスカンが前方に歪んでしまっています。
その為、ノックピンが内側に半分飛び出してしまっています。
この状態では、もうナスカンとして使用することは出来ません。
ナスカン下の回転する部分が擦り減ってきてしまい、スッポ抜けた例はありますが、今回の例は、驚きの一言です。
(鉄製品だともっと早い時期に錆により交換されたでしょうし、ステンレス製の持つ粘り強さも長持ちに関与したのかと想像されました。)
線径3mmだった丸カンも1.5mmにまで擦り減っています。
さらに、ナスカンの回転部分とチェーンとを連結している丸カンとには明らかな擦り減りによるへこみが生じていました。
ナスカンの下部、元は4mmあったのですが、1.45mmまで擦り減っていました。
固定側のチェーン部分には表面を平らにカット処理したかのような擦り減りが出来ていました。
繋留するメインのチェーン部分に目をやると、ちょうどナスカン側から全長の半分の位置に取り付けてあるスイベルまでが大きく擦り減ってきていました。
チェーン自体も、製作時には線径2.5㎜あったものが、部分的には最大で、1.6㎜にまで擦り減ってしまっていました。
それに伴い、チェーンも引っ張られる力で少し縦長に伸びてきていました。
元のチェーンのコマと並べてみましたので、両者を比較すると何割かずつ伸びてしまっているのが良く分かるかと思います。
スイベルよりも後方のチェーンについては比較的状態が良かったので、ナスカンからスイベルまでを新しいものに交換することにしました。
ただ、後方のチェーンも、擦り減りや変形といった面では大丈夫だったのですが、長年の仕様に伴いチェーン表面の綺麗な銀色の輝きは失われ、ツヤの無いねずみ色のチェーンになってしまっていました。
そこで、再研磨処理を行ってみる事にしました。
その結果、今回取り換えたチェーンと同じくらいにまで光沢が戻って来てくれました。
ナスカンとチェーン及びスイベルの交換(全長約1.5m分)
¥6400(消費税・送料別)(2017年夏の時点での価格となります)
発送後、『チェーン修理ありがとうございました。新品かと思うくらい綺麗にしてもらってありがとうございます。』とのコメント共に、現在のワンちゃんのお写真をお送り頂きました。
前回は2歳でのご依頼でしたので、今はもう12歳になっているはずなのですが、お写真では若い時のままのように見えました。
修理に関するやり取りの中で、『かなり首が丈夫らしく貴社のチェーンに出会うまでは、ガンガン引っ張って何度もチェーンを切ったり、伸ばしたりして、脱走したりもしました。
年をとってきたら落ち着くかと思っていたのですが、未だに力強いままのようです。』とのコメントを頂いておりましたが、お写真を拝見して納得しました。
ちなみに2歳の時のお写真はこんな感じでした。
まだまだ力も強く元気なワンちゃんですが、この擦り減り箇所の交換で、再び安心して繋留して頂けるかと思います。
今回は、鎖屋兄弟も本当に貴重な体験をさせて頂けました。
交換修理を思いついて頂いたお客様に感謝です。
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